そう、私があいつと出会ったのは……確か『霧の事件』のときの、湖でだったわ。
やかましい妖精ね。
その程度の印象だった。普通はそうでしょう? その辺で突っかかってくる妖精のことなんて、いちいち気にしててもしょうがないじゃない?
でもまあ、こうして一応思い出すことが出来るくらいには、なんていうのかしら。個性的? そんな感じで、妖精の類にしては我が強かったみたいね。
だからスペルカードを出してきたときも、それほど驚かなかったわ。妖精がスペルを練られるなんて珍しいのは確かだけど、本人は自覚が無かったのかしら。本当、あの時は寒かったわね――寒すぎたわ。まあ、それでもあいつ自身は妖精だしね。その場はちょっとからかって追い返すだけだったわ。あとは綺麗さっぱり。その後も色々と大変だったしね、ハイソな方々とは合わないのよ、私は。
もうちょっと考えたほうが良かったのかも……。柄にもない、って魔理沙にも言われたわよ。でも、私が一番最初だったんでしょ? 私が最初に知っていたのよ。――そのときは、私もその意味までは気付かなかったわけだけど。
絶対に忘れない、とは言わないわよ。私は人間ですからね。でも、あそこへ行けば、いつでも。そう、あれを見れば――