Summer Nights, Fairyism [2]

妖精。……自然の精エレメントが凝り固まり、ある程度の力と意識を表出させたもの。または、神代の昔に進んで天から地上に降った天使のなれの果て。

あの妖精は、見るからに前者だったわね。本当のところは調べてみないとわからないけど。

この手の存在にしては、随分成長していたわ。年齢も……見た目よりは高かったと思う。もしかすると、私より年上かもしれない。もちろん、妖精だから……子供にしか見えないし、精神もその程度だけど。

危険だった……あのまま放置しておくことはできなかったわ。確かに私やレミィと比べると……いえ、その辺の野良妖怪あたりに対してでさえ、大した力はなかった。でも、そういう問題ではないの。

咲夜に任せることは出来なかった。あれは人間に任すべきことじゃなかったからよ。かといって、レミィの分野じゃないしね……え? 門番? ……そんなことしたら館の門ががら空きになるじゃない。それとも私に門衛をしろって言うの? 冗談じゃないわ。

ともかく、それで……私はするべきことをした……したはずだった。

信じられるかしら? あんなことになるなんて。

まあ、あれはたくさんの原因が複雑に絡み合って出てきた結果だし、それに私がいなくても同じことだった。……同じことになったと思うわ。だけど私は偶然にしろ必然にしろ関わったし、そのことで後悔も安堵もしていないわ。

そう、だけど……ああ、不覚ね。本当に。あんなことに……。

もう、そのことはノートに書いてあるわ。事実の全部を、どんなつまらないことも一つ残らず、私の知る限りのことをね。

でも、私はあれを、この目で見てしまった。……何故なのかしら。事実の全てを書いたはずなのに、私は何も書いていない気がする。真実の何をも、何一つ書き表していないような……。それほどまでに、何故、あれは、あんなに。何故……――